日本でもついに「共同親権」が認められるようになりました。
現状問題となっている養育費の不払いや、合わせてもらえない面会交流がどのようになっていくのかまとめました。
共同親権が採決
現在の日本では、離婚後は父母どちらかが親権をもつ「単独親権」になっています。
しかし、離婚後も父母両方が親権をもつ「共同親権」が可決されました。
このような法改正は、単独親権が可決されてから77年ぶりとなっています。
ただ、単純に離婚後も父母揃って親権を持てるだけではなく、子どもの人生に関わる大きな出来事などは両親の合意が必要になったりするようです。
それに伴いこれから法改正もされていくようです。
親権の決め方
引用:NHK首都圏ナビ
基本的には離婚について協議する際に、どちらが一方が単独親権者となるか、もしくは、「共同親権」となるか、話し合って決めることができるそうです。
意見がまとまらない場合は、家庭裁判所で調停などを通して判断されるようです。
DVなどがあり父母が対等に話し合えないような状況である場合や、子どもへの虐待が懸念される場合もあると指摘があったようで、
その場合は、「真意を確認する措置を検討する」と付け加えられたそうです。
DVで心身ともに疲弊している配偶者は、単独親権者となった後の仕返しや暴力が怖くて真意を伝えられるのかな?と思うところはありました。
両親の同意が必要なもの
引用:NHK首都圏ナビ
「共同親権」となった場合、子どもの人生に関わることを判断する場合は、相手側の同意が必要になるようです。
その例としてあげられているのが、「幼稚園や学校の選択」、「進学や就職の選択」、「転居先の決定」、「生命に関わる医療」などです。
ただし、「子の利益のために急迫の事情があるとき」や「教育などに関する日常の行為」は相手側の同意を得ずに判断しても良いとされています。
急迫の事情の例として「期限の迫った入学手続き」、「緊急手術」、「虐待からの避難」などがあげられていて、
日常の行為との例として、「子どもの食事」、「習い事の選択」、「ワクチン接種」などがあげられています。
両親の同意が必要なもの考察
子どものことを両親揃って判断するというのは大賛成です。
子供にとってより進路の良い判断ができるカモしれないですが、不安な点が多いと感じました。
- 学費を払いたくないから進学を拒む別居親が現れそう
- 離婚をしてもDV・虐待から逃れられなくなりそう
- わざと手続きをギリギリまでせずに、「入学の手続きが期限が迫っていた」と、別居親の合意を得ずに強行突破する人が現れそう
と、いうものです。
意見が分かれた場合は家庭裁判所が間に入って判断してくれることになるそうですが、進学や就職に関することは、離婚調停などように月1回ペースで進めていっていては間に合いません。
しかも、3組に1組が離婚する現代では、進学などの時期に家庭裁判所がパンクするほど忙しくなると思います。
そもそも円満ではない、話し合うことが難しくなったから離婚するという夫婦も一定数はいる思うので。
養育費不払いはどうなる
引用:NHK首都圏ナビ
現在、きちんと養育費をもらえている単独親権者はたったの3割ほどです。
だいたいは未払い、途中から払わなくなった、など不払いが大きな問題となっています。
これからは、養育費の支払いが滞った場合に、他のものより優先的に財産を差し押さえができるようにする「先取特権」がつくようです。
それに伴い、相手の財産の差し押さえや、収入や資産の情報開示を求める手続きも簡素化されていくとのことです。
養育費の不払いはどうなる考察
手続きは簡素化されても、結局払わない親は払わないままだろうな。というのが素直な感想です。
いくら養育費の支払いが義務であっても、ないものは取れません。
養育費の支払いから逃れるために、仕事を辞めて収入を減らす人すらいるそうです。
自営業であれば、いくらでも収入や資産を隠すことができると聞いたこともあります。
「共同親権」となれば、養育費など必要なお金は出さないくせに、進学などについて口だけ出してくる親も増えると思います。同居親からしたらたまったものではないでしょう。
共同親権に魅力を感じてもらうためには、養育費を国や自治体が、支払い義務のある人の代わりに支払う。そして、国や自治体が支払い義務者から回収する。というようにするのはいかがでしょうか。
実際に明石市が行っているようで、単独親権者からは高評のようでした。
既に養育費を決めずに離婚してしまっている場合
養育費などを決めずに、別れてしまっている人も今後もらうことができます!
「法廷養育費制度」が作られ、すでに離婚してしまっていても請求できるようになるそうです。
現在既に養育費を決めずに離婚していても家庭裁判所の調停を利用して決めてもらうこともできます。
元配偶者と顔を合わせたくない場合でも、調停であれば一切姿を見ずに話し合うことができます。
間に調停員さんが入ってくれるので、当人同士で話し合うよりスムーズに進みますし、最終的に話がまとまらなかった場合は、裁判官が養育費の金額を決めてくれます。
面会交流はどうなる
面会交流については、新たな試みとして「(調停など)話し合いの途中でも、家庭裁判所が面会交流を行うことを促してくれる」ようになります。
これにより、子どもが別居親に早く会うことができます。
当然ですが、虐待の恐れがある場合は認められません。
また、これからは祖父母も面会交流を求めて裁判所に審判を請求することができるようになるようです。
面会交流はどうなる考察
これはいい試みだと思いました。
筆者は弁護士とたまに話しますが、「離婚したら夫(妻)に子どもに合わせたくない」という人が多いそうです。
そして、親権を得るための「子ども連れ去り別居」も問題となっています。
離婚は夫婦の問題であって、子どもは無関係。両親2人から愛されるべきだと思います。
夫婦が離婚する場合、何かしらのいがみ合っている場合が多いとは思いますが、子どもが希望するのであれば、第三者機関を利用するなどして面会交流はしっかりさせてあげて欲しいです。
もちろん虐待の危険性がある場合は除きます。
「共同親権」の影響 考察
「共同親権」になった後、子どもや親にどのようなメリット・デメリットがあるか考えてみました。
デメリットについては、素人の筆者が思いつくこと程度であれば、有識者の方々が「共同親権」を実際に認める前に解決策を提示してくれると思います。
子どものメリット
両親どちらにも自由に会える!
単独親権の場合、別居親が強く望んでも、同居親が拒んだ場合は会うことが出来ませんでした。
しかし、「共同親権」となれば別居親も親権者なので自由に会うことができるようになると思います。
理不尽にあわせてもらえない場合、家庭裁判所の調停を利用して面会交流できるようしてもらいましょう。(それでも合わせたがらない単独親権者がいるのも、共同親権が認めらららようになったキッカケのひとつかもしれませんね)
同居親の新しいパートナーからの虐待から守ってもらえる!
小さな子どもが、母親の恋人から虐待を受けて死亡するニュースで胸が痛くなったことはないですか?
親権がない別居親は、子どもを家から連れ出すと誘拐となり守ってあげることができないこともあったそうです。
「共同親権」であれば、面会交流の回数も増えて、子どもの様子も分かり、虐待に気付ける可能性が高くなります。
そして、虐待から守るために子どもを避難させる場合は、相手親の同意は必要ありません。
子どものデメリット
両親の教育方針が違った場合、希望が通らない可能性もある
これは両親が離婚していても、していなくても同じかもしれません。なので、「共同親権」である必要は特別感じません。
面会で性被害に遭う可能性も
海外では大問題になったようです。ただ、これも「共同親権」だから被害にあったという訳ではないと思います。
両親の板挟みにあうかも
子どもにとってはどちらも大切な親であるという事実は変わらないので、一方の親の悪口を言ったりする行為は、自分の子どもを傷つけることになると思います。
これも「共同親権」だから起こるデメリットではないと思いました。
親へのメリット
子ども連れ去りされない!
私が知っている中で悲惨だと思ったのは、「妻が不倫、子供を連れて別居、離婚すると会えなくなるから、高額な婚姻費用を支払続ける」というものです。この男性は踏んだり蹴ったりな状況です。
男性は普通に生活していただけなのに、パートナーに裏切られて、それだけでもツラいのに離婚したら子供まで奪われる。そんなの許されてはいけないと思います。
ただ、現状は女性が親権者として有利なので、「共同親権」となれば、子どもを人質にされて離婚できなくなることはなくなるのではないでしょうか。
養育費の回収がより厳しくなる!
前述しましたように、国も未払い対策をしてくれるようです。まだ改善が必要だとは思いますが、受け取れていない同居親が減ることを願っています。
面会を自由にできる!
離婚後は別居親に合わせたくないという人が多いと弁護士の先生が言うくらいなので、実際にそうなのでしょう。
共同親権であれば、遠慮なく面会することができますね。
親へのデメリット
養育費の回収がより厳しくなる?
正直、養育費を未払いが多い現状をみていると、改善されるのか疑問です。
「ないところからはとれない」とされるハズなので、払いたくない親は年収を誤魔化したり、あの手この手で支払いを拒むと思います。
非常に無責任で腹立たしいので、未払いの場合は給料、車、家、なんでも差し押さえできたらいいのにと思います。
面会を自由にできる?
家庭裁判所が全ての虐待を見極められるとは思えないので、少し危険ではないかと思いました。
モラハラ加害者は外面がいいとはよく耳にしますよね。
きっと裁判所の人たちも騙されてしまうと思います。
また、性被害も心配です。
面会のルールを作っても、不仲やいざこざなどで離婚した元配偶者に合わせたくない同居親はたくさんいます。
その場合、たとえ「共同親権」であっても、面会を審判で定められていたとしても、何かしらの理由をつけて合わせてくれないのではないでしょうか。
まとめ
「共同親権」になれば養育費の未払い、面会させてもらえない、などの問題が解決することを期待していますが、現状のままでは内容が薄くて、何も変わらない気がします。
むしろ、養育費もらえないのに、進学の邪魔をされてモヤモヤする人が現れるなどの弊害が心配です。
夫婦別姓、同性婚はいつまで経っても認められないのに、「共同親権」は国民が納得していなくても可決されてしまうことが少し悲しかったです。
SNSでリサーチしてみると批判的な意見が目立つように感じます。
子どもの利益を最優先に、同居親も別居親も単独親権より良いと思えるものになって欲しいですね。
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