現代では、夫婦の約3割が離婚しているといわれています。
それは子育て世代も例外ではなく、特に揉める内容は親権者をどちらにするかということだとではないでしょうか。
しかし様々な面で男女平等が謳われる令和になった今も父親は親権が認められれにくいといわれています。
今回は父親が子ども連れ去り別居をされたうえでも親権が認められたら例についてまとめていきます。
裁判の内容
2022年3月25日に東京地裁で行われた裁判で、
親権者である父親の元から、子どもを連れて別居した元妻と、連れ去りをアドバイスした女性の代理人弁護士2人に110万円の損害賠償の支払いを命じる判決がくだされました。
別居の詳細
2015年に夫婦は長男(17)と次男(11)の親権者を男親にすると決めて協議離婚しました。
その後に男性と子ども、そして元妻は同居をしていたが、2016年に元妻は子どもを連れて別居しました。
女性の代理人弁護士が子どもを連れ出すことをアドバイスしたそうです。
原告(父親)は1100万の損害賠償を請求
上記の子ども連れ去り別居により原告(父親)は、精神的苦痛を受けたことによる1100万円の損害賠償を、元妻と代理人弁護士2人に求める訴訟を起こしました。
東京地裁の判決は、元妻が子供を連れ出して別居した時点での親権は原告(父親)にあったと認めて、「子どもと不法に引き離されることがないという親権者の利益を侵害した」というものでした。
その反面で父親の支配的姿勢も認められて、「父親が今回の別居に追い込んだ面も否定できない」となり、損害賠償は110万円が妥当であると結論づけられました。
双方が控訴
東京地方裁判所の判決に父親側、元妻側共に控訴していました。
それに対して高等裁判所は、
元妻が子どもを連れて別居したことに対して「違法」であるという地方裁判所の判決を維持し、
父親の損害賠償増額も認めずに、双方の控訴を棄却しました。
子ども連れ別居とは
文字通り「子どもを連れ(配偶者と)別居する」というものです。
もちろん、離婚前の夫婦はどちらにも親権がありますので、同意なき別居のには配偶者の子どもを監護・養育する権利を侵害しているとも捉えられますので良い行動とは言えません。
今回の裁判のように違法と認められてしまい、自分が不利になってしまう可能性もあります。
アドバイスした弁護士にも賠償命令が
今回の裁判では、子どもを連れ去った元妻のみならず、そのことをアドバイスした弁護士にも損害賠償の支払いが認められました。
それに対し、弁護士はこう述べました。
「今後、離婚や子どもをめぐる相談に、弁護士が助言するのをちゅうちょせざるを得なくなる。非常に残念」
引用 : 朝日新聞デジタル
確かに、子どもに対する暴力等の虐待がある場合でも、違法と認められた例があると弁護士もどうアドバイスをしたらいいか悩んでしまいそうですよね。
親権について
そもそも親権とはどんなものか法務省のホームページを調べてみました。
「親権」とは,子どもの利益のために,監護・教育を行ったり,子の財産を管理したりする権限であり義務であるといわれています。親権は子どもの利益のために行使することとされています。
父母の婚姻中は父母の双方が親権者とされており,父母が共同して親権を行使することとされています。
父母が離婚をする場合には,父母のうち一方を親権者と定めることとされており,離婚後は,その者が親権を行使することとなります。引用 : 法務省ホームページ
夫婦の離婚後は親権者となった親が子どもと生活を共にするケースが多いそうです。
そうなると、両親どちらも子どもの親権者になりたくて協議の際に揉めるのも納得ですよね。
離婚後の親権者の現状
子どもが1人から3人いる夫婦が離婚するときの親権者は、9割が女性、男性が親権者となるのは1割程(高くて13%)と統計が出ています。
参照 : 政府統計の総合窓口
そもそも、なぜ女性が親権に有利といわれているかというと「母性優先の原則」というものがあります。
10歳くらいからは子どもが希望すれば父親が親権者となれる可能性も出てきますが、乳幼児は今まで母親に監護・養育されているケースが多く、そのまま母親と一緒にいる方が良いと判断される場合が多いようです。
裁判所は「子の利益」など、「子どもの福祉」を考えて判断してくれます。
父親が親権者となるためには、裁判所が父親と一緒にいる方が子どもにとって良いと判断してもらう必要があります。
父親が親権者とのるためには
- 子どもが父親との生活を望む
- 子どもの監護・養育した実績を積む
- 離婚後の生活が不安定にならない
などの条件を満たす必要があり、母親以上に厳しく判断される場合が多いようです。
今まで専業主婦だった母親が親権者になった場合、経済的な不安があるかもしれませんが、パート代や養育費などで補える可能性があります。
今までフルタイムで仕事をメインでしていた父親が親権者となった場合、子どもが母親と一緒にいた頃と同じ水準の生活ができるとは認められにくいようです。
そのために子どもが父親と生活しても生活水準が変わらないことを認めてもらうために、監護・養育した実績を残す必要があります。
そこで父親母親問わず、監護・養育実績を残すために子どもを連れて別居するという強引な手段に出る親もいるようです。
別居をしなくても子どもの監護・養育実績を積む方法をまとめてみました。
- 子どもの生活のサポート(食事など)をする
- 保育園の連絡帳のやりとりをする
- 病院へ連れて行く
- 習い事の送迎をする
- 休みの日も遊びに出る
など、日常的に子どもを監護・養育していることを第三者も認めるくらいであれば、男親の親権も認められる可能性も出てくるのではないでしょうか。
まとめ
離婚や親権などの問題も夫婦によって様々で、過去の事例と全く同じケースであることはあまりないと思います。
パパ育休など、社会も男性の育児への参加を後押しし始めたので、少し先の未来では男親だからと監護・養育実績が足りないと判断されることが少なくなるのではないかと期待しています。
「子連れ別居」で悲しい辛い思いをする配偶者・子どもが減ることを願っていますが、
子どもの親権がどうしても欲しい、子どもを虐待から守らなければならない、という場合だとどのような行動をするのがいいのか悩んでしまうと思います。
筆者は法律のプロではないので、有事の際は弁護士など有識者の方に相談されてくださいね。
コメント